りきおのオピニオンスタジアム

 
2014年3月17日
第12回「『支えあい』は『もたれあい』ではない」

~無責任な予算で復興が遅れる~

 3月11日に東日本大震災三周年追悼式に出席をして参りました。黙祷をささげた瞬間、当時のことがよみがえり、心のなかで「逃げろ!」という言葉が湧き出てきました。三年前の午後2時46分、その瞬間からひたすら逃げていればもっと助かっていた命があったはずだ・・・
 三県のご遺族代表の切々たるお言葉には、涙を抑えることができませんでした。

 一方で現実を見れば、復興は遅々として進まない状況です。考えてみると、震災直後の極限の状況にあって輝きを放った一人ひとりの支えあい、その力が日本人にはあるはずなのに、なぜこの体たらくなのでしょうか。実際にやっていることといえば、公共工事へのバラマキ予算によりただでさえ足りない労働力や資機材を東北から奪っているという現実。このギャップの大きさはいったい何なのでしょうか。

 私たち一人ひとりがもっと政治や行政に向き合っていかなければ、このような、他人任せの「もたれあい」が復興を妨げる事態は解消されないと思います。

~心無い言葉・・・「官製春闘」~

 12日の第一段階を皮切りに春季生活闘争が本格段階を迎えています。私はこの「春闘」の取り組みも、「支えあい」の典型的な取り組みだと思っています。

 記者会見でも述べましたが、12日はいいスタートがきれました。しかしこれはあくまでも「スタート」です。一つひとつの労使がしっかりとした交渉を展開し、最善の答えを導き、そのことによって経済の好循環を実現する。非正規の形態も含めて、全ての影響力を発揮していく。社会全体の壮大な「支えあい」の取り組みであると思っています。

 ところで一連の報道のなかには「官製春闘」なる言葉を使っている例が見受けられます。私はこの言葉には、様々な意味で、心の無さを感じます。

 まず問題な点は、労使の真摯な交渉をコケにしているということです。12日の集中回答日に向けて、各労使がギリギリの交渉を展開してきたことはご存知の通りです。大半の経営者の当初の姿勢は「報酬で応える」・・・つまり収益向上を反映した一時金のアップを中心に対処するというものでした。経団連の「経営労働委員会報告」の考え方も、政府の賃上げ減税の仕組みも報酬全体を対象としており、それを裏付けるものでした。

 これに対し、あくまでも私たち連合は、「月例賃金にこだわる」「底上げにこだわる」と主張し続け、各組織もそれに呼応した交渉を展開し続けてきています。そのもとで、これまでの回答引き出しに至る一つひとつの労使の交渉において、「一時金で対応→ベアでも検討する(有額)→金額を積み上げる」という一連の変化があったことは、第一線の記者の方々が自らの足と取材力でつかんでいかれたとおりだと思います。

 そして最もいけないのは、この言葉が、この春闘という取り組みを、「人任せ」のものと錯覚させることです。「どうせ今回は一部の大企業が政権にゴマをすってベアの形をこさえただけの話だ。自分の企業には関係ない」・・・雇用労働者の7割をカバーする中小企業にそんな誤解が広まるならば、せっかくの好スタートも、レースの中盤で転倒、全てをフイにするようなものです。

 「支えあい」は一人ひとりの責任ある対処で実現するものだと思います。無責任な言葉のもてあそびは、「もたれあい」を助長します。

(神津)

りきおのオピニオンスタジアム
2015年 一覧
2014年 一覧
2013年 一覧