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気になることがあったときに“噺のタネ”をお届けします。

2015年12月21日
第1回「思いこみの報道はいただけません」

 落語に「目黒のさんま」という噺がある。殿様が目黒に出かけた時に、近くの民家で焼いていたさんまを食べた味が忘れられず、お城でもう一度食べたいと作らせたら、骨を抜き、油を抜いたお吸い物のさんまが出てきた。殿様はそれがあまりにもまずいのでどこでとれたのかと尋ねると、「日本橋魚河岸で求めてまいりました」「それはいかん。さんまは目黒に限る」という落ちがつく。とれた所に問題があるのではないかという殿様の思いこみ、殿様が食べるのだからこういう調理の方がいいに決まっているという料理人の思いこみが重なって面白さをつくっている。だが、落語だと笑えることも、報道の世界だと笑えない。

 12月15日付けのT新聞で、最近の労働関係の動きに触れつつ「いのちと生活に無関心な労働組合ってなんだ」というコラム記事が掲載された。労働者派遣法の成立、「解雇の金銭解決制度」が導入されようとしていること、原発事故対応および廃炉に向けた労働者の安全確保、安保法制への対応について、連合は何もやっていないと言わんばかりの内容である。

 論評以前の問題として、記事の裏付けとなる取材をきちんとしているのか、疑問を感じる。筆者から直接取材を受けた経緯はなく、それぞれの課題について、ステレオタイプ的な思いこみで書かれているという印象だ。コラムなので、個人の意見が含まれるのはいいとしても、事実をねじ曲げて読者に伝えるという姿勢はジャーナリストとしていかがなものか。マスコミの影響力は大きい。著者の思いこみと読者が読みたいのはこういうものだろうという先入観で物事を報道するのは危険だ。

 ちなみに、コラムは「カネさえ払えばクビを切れる。そんな恥ずかしい社会にしてはいけない」という趣旨で結ばれている。そうであるならば、「検討会」における連合選出委員の発言もきちんと拾ってほしい。連合が何も発言していないかのような記事は、読者に誤解や偏見を与えるだけである。

 労働組合や連合運動に対する理解が深まるよう、連合からも積極的に情報を発信していくとともに、マスコミの取材等については積極的に対応していくつもりである。もちろん、事実を踏まえた連合運動への叱咤激励にも耳を傾けていく。

 今後も、気になることがあったときに“噺のタネ”を不定期で更新していくので、よろしくお願いします。

(逢見)