紙つぶて

 
2018年10月22日
一味違う秋の味覚

 秋の味覚に舌鼓。良い季節を迎えました。暑い夏を乗り越えたご褒美に、四季折々の旬の味を楽しめる日本ならではの贅沢を満喫したいものです。気心の知れた友人や家族と足を伸ばすのも一考。ただし、日頃の慌ただしさの反動から、「肴も最高。お供も最高」となんだかんだ理由をつけて、親の仇と言わんばかりに飲み食いすれば、かえって体の調子を崩すというもの。ご用心、ご用心。
 さて、繊細な日本料理を引き立てるのに欠かせないのが塩。「手塩にかける」など、ことわざにもこと欠かないなじみ深い塩ですが、今、その塩が肩身の狭い思いをしています。そう、「減塩」の波です。英国では、国民の健康増進のため政府が一計を案じました。パンづくりに用いる塩の量を年々減らし、国をあげての減塩に成功。医療費を数千億円単位で減らすことができたそうです。
 一方、日本の社会保障費の急増を示す棒グラフは、まるで積み上がる私たちの将来不安を映すかのようです。国民の健康が将来の医療費に跳ね返るのは日本も一緒。ならば、今年の秋は、自分なりの健康の積み上げ方もこの際「肴」にして、一味違った旬の味に舌鼓を打つのも一興です。
 健康診断で血圧を測り直し、一番良い成績を実力値と誇る私の態度は明らかに問題です。今を生きる私たちの健康は、将来世代が暮らす社会の健康度につながるのですから。

2018年10月22日の東京新聞・中日新聞夕刊に掲載