紙つぶて

 
2018年7月30日
未来への挑戦権

 私の手元にある白黒写真。布団を干すかっぽう着姿の母親のそばに子供たち。背景は国会議事堂です。終戦から十年がたった頃の写真は、戦火の傷痕、家族の笑顔、のちの成長を予感させる社会の希望を映しています。モーレツ男性社員が代名詞ともなった「昭和」の一コマです。
 現在、労働力人口の減少という急坂を下る日本。人口動態の大変化は予見されたことと泰然自若を決め込むのも、今となっては打つ手は無いと思考停止することも、次世代への責任を放棄する点では同罪です。「平成」を生きる私たちはどんな一コマを後世に残せるのでしょうか。
 約九千万人の昭和以前生まれの「経験値」と約三千万人の平成生まれの「新感覚」を互いに活かしあうことも大事。ただ、残念なことに過去の成功体験への逃避や、力んでも大して変わらないとの諦めが、心のわずかなスキに棲む方には、未来を変える挑戦権は届きません。
 今、働き方を本腰で問い直す日本。それは、これまで当然視してきた産業、社会、ライフスタイルなど、あらゆるあり方を見直す千載一遇の好機でもあります。健康で安全な、そして、誰にとっても魅力ある働き方を「ぐいっ」と引き寄せることができるか大事な局面なのです。「平成」に続く新たな時代も目前に迫ります。皆さん。未来への挑戦権は届きましたか。

2018年7月30日の東京新聞・中日新聞夕刊に掲載