紙つぶて

 
2018年7月2日
そのパスの意味

 「あ行」の名字ということもあり、小さい時から、出席番号順では労せずポールポジションをゲット。何かと「初っぱな」には慣れっことはいえ、週明けの月曜日担当として緊張のスタートです。ささやかな日常を主題に、力まず筆を進めてまいります。
 さて、サッカーのワールドカップ(W杯)ロシア大会。終了間際の決勝弾あり、番狂わせあり、サッカーの残酷さも思い知る本大会。ひきつけられます。ベスト16に進んだ日本チーム。サポーターの試合終了後のごみ拾いも印象的でした。
 その中、近頃の私の楽しみは早送り→再生→早戻しと、家のやや旧式なDVDの操作ボタンを巧みに操り、得点シーンを切り取り観ること。ディフェンダーの頭上をかすめ意思を持つがごとく弧を描くシュートにも、スローモーションかと見間違うふわりと浮かすゴールにも、ただただ感嘆。
 同時に、何回かの再生ボタンで見えてきたのは、華やかな得点シーンを演出するラストパスの精度。いやいや、そうではなくて、そこにつながる一つ前の、さらにその一つ前の一本のパスの意味。決して大歓声を呼ぶことはないが、それでも大事な前を向いたパス。なるほど、「全て」はここから。職場の隅で、社会のどこかで、日々、ボールを追い、丁寧に仲間の足元にパスを送る。その意味をもう一度かみしめたい。

2018年7月2日の東京新聞・中日新聞夕刊に掲載