“ジェンダー平等”が新語・流行語大賞トップテン入り!

2021年12月7日

月刊連合連載「若菜センセイに叱られる!?」では、この1年、「なぜ女性参画は進まないのか?」をテーマに、首藤若菜教授が労働組合の女性役員を中心にインタビューを重ね、鋭い切り口で「進まない原因」を浮き彫りにしてきた。そのメッセージが届いたのだろうか。10月の第17回定期大会で連合初の女性会長が誕生した。

第8代となる芳野友子連合会長は「連合運動すべてにジェンダー平等の視点を!」と呼びかけ、大きな注目を集めている。新体制では、どのような課題に向き合い、女性参画やジェンダー平等をどのように進めていくのか。芳野会長と首藤教授が語り合った。

労働組合は社会を変えていく「原動力」

ー連合初の女性会長に大きな期待が寄せられています。まず、芳野会長から抱負を。
芳野 正直言って、これほど注目されるとは思っていませんでした。同時に、連合や労働組合という存在が、世の中にはよく知られていないことも痛感しました。一方で、労働組合とは社会を変えていく「原動力」。私の会長就任が注目されたのは、そのことへの期待も込めてのことだと思います。
まず、取り組んでいきたいのは、連合運動のすべてにジェンダーの視点を入れていくこと。今、本当に弱い立場にある人たちの姿が明らかになっています。コロナ禍で最も深刻な影響を受けたのは、非正規雇用やフリーランスで働く人、そして、ひとり親家庭であり、その多くが女性です。労働組合の果たすべき役割として、その課題に向き合い、早急に底上げをはかっていきたいと思います。

ー首藤先生は女性の連合会長誕生をどう受け止めましたか。
首藤 まさかこんなに早く実現するとは思いませんでした。つい最近も、連合に女性の三役が誕生するのは、いったいいつになるのかと突っ込んだばかり…。だから、女性参画やジェンダー平等に最前線で取り組まれてきた芳野会長の就任をお聞きして、本当にうれしかった。これまで女性参画を阻んできた幾多の壁を突き破る、大きな契機になることを期待しています。
そこで、会長にお伺いしたいのですが、「連合運動のすべてにジェンダーの視点を」とのことですが、どこから始めようと考えられていますか。

芳野 まず、連合の意思決定の場に女性が参画し、女性の権利をきちんと主張できる環境をつくること。そして、執行部役員にとどまらず、三役などのポジションに上がっていける人材育成を進めること。これを、連合本部だけでなく、構成組織、地方連合会も含めて進めていくことから始めたいと考えています。
連合『ジェンダー平等推進計画』フェーズ1」には、具体的な達成目標、推進目標も掲げています。単組の女性役員はかなり増えてきていますが、2期4年で退任する人が多い。女性役員の複数配置に取り組み、ジェンダーの視点を共有した上で、女性役員が「女性担当」から次のポジションに行けるルートをつくる。そういうステップで運動のすべてにジェンダーの視点を入れていきたいと考えています。

首藤 単組では「女性枠」で女性役員を配置する動きが進み、確かにその数は増えていますが、次のステップに展開できていない。連合会長も、構成組織トップから選ぶという「慣例」がありましたが、今回、それを打ち破って「女性枠」の副会長であった芳野さんが選任された。従来とは異なるルートの登用も「あり」だということが広がっていくといいですね。同時に、芳野さんは3期6年間にわたり副会長を務めており、誰よりも長く経験されていたわけですから、十分なキャリアがあったとも言えます。

芳野 女性参画を進めるには、ある種の慣れが必要なんです。そのためのツールが「女性枠」。労働組合は男性社会で、性別役割分業意識も根強い。そこに女性が入ると、異質な存在のように排除されたり、腫れ物に触るように大事にされたりしてしまう。だから、まず「女性枠」を使って、男性側に慣れてもらう必要があったんです。女性がいることに慣れれば、その扱いも変わってくるし、女性の参画によって新しい視点が生まれることに気づくようになります。

首藤 なるほど、男性側の慣れが必要なんですね。とはいえ、それもそろそろ終わりにしてもいい頃ですね。

芳野 はい。次のステップに進む時です。まず、足下の連合本部において、担当局だけでなく、すべての局の方針や政策に「ジェンダーの視点」を反映させていきたいと思います。

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芳野友子 連合会長             首藤若菜 立教大学教授

※この記事は、連合が企画・編集する「月刊連合12月号」をWEB用に再編集したものです。