2017春闘本番!逢見事務局長に聞く 労使交渉のポイント

2017年3月9日

連合は2月3日、2017春季生活闘争(春闘)の闘争開始宣言中央総決起集会を開催。職場、地域で、本格的な取り組みが展開されている。労使交渉をさらに一歩進めるためのカギは何か。逢見事務局長に聞いた。

─なぜ、連合は「月例賃金」にこだわるのか?

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働く人たちの生活の根幹を成すのは安定的な収入となる「月例賃金」。個人消費が盛り上がりに欠ける中で、今、消費の拡大が求められている。この消費に効果があるのは、一時金ではなく月例賃金。月例賃金の引き上げであれば社会的相場が形成され、大手企業の組合員だけでなく、中小企業や未組織労働者にも波及し、さらに、最低賃金にも反映される。「底上げ・底支え」「格差是正」を前進させることにもつながっていく。

ボトムアップで底上げを

─「底上げ・底支え」「格差是正」に向けた取り組みは?

日本の企業の99%は中小企業であり、中小企業で働く人に賃上げが行き渡ることが必要だ。連合は2016春闘から「大手追従・大手準拠からの脱却」「サプライチェーン全体で生み出した付加価値の適正分配」に取り組んできた。まず大企業が儲かれば、やがて中小企業にも行き渡るという「トリクルダウン型」のやり方ではうまくいかない。「ボトムアップ型」の春季生活闘争で「底上げ・底支え」「格差是正」を進めていかなければいけない。

パート、派遣、契約社員などいわゆる非正規労働者の労働条件の改善についても、「非正規共闘」を組織して、雇用の安定と、仕事に応じた適正な処遇の確保に向けた取り組みを進めていく。家計の可処分所得を増やすことが、「働くことを軸とする安心社会の実現」につながっていくからだ。

─社会的アピールを広げていくには?

2月2日に経団連とトップ懇談会を開催したが、一つには、こうした経営者団体と社会対話をする中で賃上げの必要性を訴えていく。また、「地域の活性化のためには地域の中小企業の活性化が不可欠」との考えから、地域の中小企業経営者や行政機関、市民などあらゆる関係者と対話や連携をはかる場として「地域フォーラム」を全国で開催するようにしている。公正取引の推進のために「取引問題ホットライン(0‌3−5295−0514)」を設置し、悪質な取引の抑制をはかるとともに、公正取引委員会や中小企業庁などへの要請活動も行っていく。

「底上げ」のけん引役として

─職場、地域で奮闘する組合役員へのメッセージを

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マスコミでは「官製春闘」という言葉が使われているが、政府が賃上げをやってくれるわけではない。働く人たちが労働組合に結集し、そこで組合員の要望をまとめながら要求を作り、経営者と対等の立場で交渉して、自らの労働条件決定に関わっていく。これが集団的労使関係と言われるものだ。この枠組みをうまく機能させることが、労働組合の社会的存在感を強めることになる。そうして、労働組合のない企業にもこれを波及させていくことで、そこに新たに労働組合を組織することにつながっていく。

すべての働く者、国民生活の底上げに向けて、そのけん引役として、連合に集う仲間が一体となって、交渉に臨んでいこう。

 

 

 

 

※こちらの記事は日本労働組合総連合会が企画・編集する「月刊連合 2017年3月号」に掲載された記事をWeb用に編集したものです。「月刊連合」の定期購読や電子書籍での購読についてはこちらをご覧ください。

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