連合ニュース 2024年

 
2024年05月09日
芳野会長が「第27回新しい資本主義実現会議」で意見表明

 5月9日、首相官邸で「第27回新しい資本主義実現会議」が開催されました。
 今回は「三位一体の労働市場改革の実行」、「企業内・同一産業内・異なる産業間の労働移動円滑化」、「資産運用立国」について、構成員による意見交換が行われました。
 連合からは芳野会長が出席し、意見書を提出したうえで、政府には適切なマクロ経済運営と中小企業が持続的に賃上げできる環境整備を期待すること、労働市場改革において今必要とされるのは環境変化に対応するための能力開発に向けた環境整備であること、企業年金は労使自治・労使合意の尊重を前提に、長期にわたり確実に給付が保障される運用が必要であること、など以下のとおり意見表明を行いました。

<芳野会長の発言要旨>
〇賃上げの環境整備について
・2024春季生活闘争では5%台の賃上げが実現し、四半世紀にわたり凍り付いていた経
 済社会が動き出した。この流れを着実に強めていくためには、物価を上回り生活向上を
 実感できる賃上げを継続・定着させていくことが重要。政府には、適切なマクロ経済運
 営と中小企業が持続的に賃上げできる環境整備をお願いしたい。
・また、日本は諸外国と比べて教育、子育て、住宅などのコスト負担が重く、加えて、物
 価高で家計収支は悪化し、中高年層ほど赤字世帯の割合が高い状況にある。すべての働
 く人が生活向上を実感し未来に希望をもてるよう、総合的な政策推進をお願いしたい。

〇三位一体の労働市場改革について
・技術革新等に伴い、スキルの変化が想定される中、今、必要とされるのは、環境変化に
 対応するための能力開発に向けた環境整備であり、労働移動の推進や、雇用慣行の一律
 的な見直し、ジョブ型人事の導入ではない。
・また、労働者が適切なキャリア形成を行うには、企業の責任において、雇用形態にかか
 わらず、等しく能力開発機会を提供すべき。その際、意識啓発や、キャリアカウンセリ
 ング、能力開発時間の確保、スキルの適切な評価・処遇がセットで実施されるべき。
・さらに、労働移動が常態化すれば、企業が責任をもって労働者の能力開発に取り組まな
 くなることが危惧され、高い専門性を持つ人とそうでない人の格差が広がることが懸念
 される。

〇ジョブ型人事について
・ジョブ型人事に限らず、人事制度は、論点案が指摘するように「自社のスタイルに合っ
 た導入方法を各社が検討」することが重要。政府は一律的な雇用システムの見直しを推
 進するのではなく、「ジョブ型人事指針」をつうじて、個別企業の支援に努めるべき。

〇資産運用立国について
・アセットオーナーには企業年金も含まれるが、企業年金は、賃金の後払いとしての性質
 を持ち、労使自治・労使合意の尊重を前提に、長期にわたり確実に給付が保障される運
 用が必要。投資促進等の政策的な目的で、過度なリスクテイクやそれによるリターンの
 獲得をめざすなど、特定の方向性に誘導することがないよう留意すべき。

以 上