大会会場
連合は10月5~6日、「社会を新たなステージへ、ともに歩もう、ともに変えよう~仲間の輪を広げ 安心社会をめざす~」をスローガンに第18回定期大会を東京で開催しました。今後2年間の運動方針などを確認したほか、新役員を選出しました。
冒頭挨拶で芳野友子会長は、「経済や社会の状況が、生活者にとって厳しい2年間だった」と振り返り、「『コロナ禍』『物価高』『円安」』の『三重苦』に打ち勝つため『賃上げ』を強く訴えながら、春季生活闘争に挑んだ。政府、経済界とも共通の認識として「政労使の意見交換」の場が設定され、大企業だけでなく中小企業でも賃上げが実現できるように、サプライチェーンにおける原材料費や労務費の価格転嫁の必要性が確認された結果、30年ぶりの高水準で賃上げが実現。このことが、過去最大の最賃の引き上げにつながった」として、現場で粘り強い交渉を展開した単組、構成組織の努力に敬意を表するとともに、賃上げの流れを2024春季生活闘争につなげていくように強く呼びかけました。
また、第18期を迎えるにあたって、特に力を入れて取り組みたいこととして、①ジェンダー平等・多様性推進、②「社会的な対話」を挙げ、「組織拡大、組織の魅力化、情報発信、政策・制度の実現、そして、政治の取り組みなど連合のあらゆる取り組みのプラットフォームであると言っても過言ではない」として、その重要性を訴えました。
最後に第18期に向かって、「連合に集う皆さまや連合を応援してくださる皆さまの力を一つに結集し、その輪を広げられるよう取り組んで参りたい」として挨拶を締めくくりました。
来賓として、岸田文雄内閣総理大臣、武見敬三厚生労働大臣、泉健太立憲民主党代表、玉木雄一郎国民民主党代表からご挨拶をいただきました。
岸田首相は「コロナ禍を乗り越えた国民は今、物価高に苦しんでいる。今こそ成長の成果を適切に国民に還元すべきである」として、「皆様のご尽力もあり生じた賃上げの大きなうねりを持続的なものとし、地方や中堅、中小企業にまで広げていかなければならない」、また「最低賃金についても2030年代半ばまでに1500円となることを目指す」などのご挨拶をいただきました。
武見大臣は「成長と分配の好循環を実現していくためには、持続的に賃金が上がる構造を作り上げていくことが必要」として、「リスキリングによる能力向上の支援、個々の企業の実態に応じた職務給の確立、成長分野への労働移動の円滑化、この三位一体の労働市場改革に働く人の立場に立って取り組む」などのご挨拶をいただきました。
泉代表は「想定以上の物価高に襲われ、実質賃金が下がり続けている」と指摘し、「政府には今の取り組みに満足をせず、賃上げ、最低賃金を引き上げるスピードをより一層加速させなければいけない」として、それには「緊張感のある政治を作り出していかなければならない」などのご挨拶をいただきました。
玉木代表は「この30年間の実質賃金低下のトレンドを変えられるかどうか。日本は今後を決める大きな岐路に立っている。その中で、連合、労働組合の果たす役割は極めて大きいが、政治の役割も極めて重要である」として、「持続的な賃上げに繋がる大きな後押しになるよう、連合の皆さんとしっかりと力を合わせ、心を合わせて取り組んでまいりたい」などのご挨拶をいただきました。
また、郷野晶子国際労働組合総連合(ITUC)会長、吉田昌哉国際労働組合総連合アジア太平洋地域組織(ITUC-AP)書記長、ヴェロニカ・ニルソン経済協力開発機構・労働組合諮問委員会(TUAC)事務局長をはじめ、海外の組織からもご挨拶をいただきました。また、ジルベール・F・ウングボ国際労働機関(ILO)事務局長などからはビデオメッセージをいただきました。
新たに確認された「2024~2025年度運動方針」では、連合がめざす社会像「働くことを軸とする安心社会 -まもる・つなぐ・創り出す-」の実現に向けて社会経済のステージ転換を確かにする2年として、「すべての働く仲間をまもり、つなぐための集団的労使関係の追求と、社会に広がりのある運動の推進」、「安心社会とディーセント・ワークをまもり、創り出す運動の推進」、および「ジェンダー平等をはじめとして、一人ひとりが尊重された『真の多様性』が根付く職場・社会の実現」などを掲げています。
役員には、芳野友子会長(JAM)、松浦昭彦会長代行(UAゼンセン)、石上千博会長代行(自治労)、清水秀行事務局長(日教組)をはじめ、副会長15名、副事務局長6名、中央執行委員32名、会計監査4名、あわせて61名を選出しました。
芳野会長は就任挨拶の中で、「2年前、『ガラスの天井』を突き破る覚悟を決めて会長に就任しました。これまで、初の女性会長として注目され、ジェンダー平等・多様性推進に取り組んできました。その際、多くの女性たちと『チャンスが来たら絶対断らないこと』を約束してきました。今日ここに多くの男性がいらっしゃいます。今後は、ぜひ女性たちに勇気をもって声を掛け、チャンスを与えてください。そして、失敗するチャンスも与えてほしいと思います。これまで築き上げたものを変えるのは難しいと思います。しかし、これからの社会、私たちが時代に取り残されないためには、スピード感もって進める必要があります。すべての労働者、生活者の信頼を得てこそ、連合運動が発展します。コロナ禍で困難な生活を強いられている方も含め、すべての労働者、生活者のために、私たちが自ら足を運んで活動していくことが必要です。
『はたらくのそばで、ともに歩む』
すべての人にとって、力となり、信頼される存在となれるよう、精一杯取り組んで参ります。」と決意表明しました。
さらに、「私たちは、大会スローガンである『社会を新たなステージヘ、ともに歩もう、ともに変えよう~仲間の輪を広げ 安心社会をめざす~』のもと、すべての働く仲間にとって『必ずそばにいる存在』として、組織全体で思いを一つにし、労働組合の社会的価値を広く訴えながら、力強く運動を進めていくことを、ここに宣言します」との大会宣言を満場一致で採択し、閉幕しました。