日本経済は回復の兆しが見られるものの鉱工業生産の水準は、ピーク時の76%にすぎず、低迷が続いている。消費や設備投資などの内需も弱いなかで、輸出は中国経済の回復などで量的には下支えされているものの、アメリカや欧州経済の回復も思わしくなく外需の伸びも期待できない。政府の需要刺激策によって一部で消費が回復しているものの先行きの懸念は大きい。これは、「いざなぎ景気」越えといわれた戦後最長の景気回復期においても、成長の成果が勤労者や家計に適正に配分がなされなかったことによるものであり、賃金は10年前の水準から7.6%も低下している。このような賃金水準の低下は、低所得層の増加と中間層の減少によるものであり、所得格差の拡大と二極化は今も進行している。政府も日本の相対的貧困率が2004年の14.9%から、2007年は15.7%に上昇したことを公表した。このような二極化と配分の歪みから、内外需のバランスは大きく崩れ個人消費は低迷したままとなっている。
一方、不況期においては跳ね上がる労働分配率も、マクロ面から見れば急激な上昇は見られていない。これは、夏季一時金の大幅減などによるものである。
雇用面でも、経済の成熟化や雇用労働の規制緩和などによって、一時は雇用労働者の約4割が非正規労働者となった。このことは必ずしも、ワーキングプアに直結するものでは無いが、低所得者層を多く生み出し、雇用と所得の面からも歪んだ状況を呼び起こした。また、長時間労働、過重労働による過労自殺が増えるなど、ワーク・ライフ・バランスの実現という観点からも大きな問題を残したままとなっている。
日本経済・社会はまさに底割れの状況にある。配分のバランスは崩れ、社会・経済システムの機能低下、セーフティネットも十分に機能していない。貧困問題も年を追うごとに深刻化している。また、こうした状況への様々な対応の結果、デフレがデフレを呼び起こすという縮小均衡の悪循環を招来しており、雇用調整助成金の効果によって低く抑えられている失業率も、その制度改善がなければ大きな社会問題となることが懸念される。このように、日本経済・社会の枠組みは、正に今こそパラダイム転換が必要不可欠となっている。2010春季生活闘争は、そのための取り組みである。連合は総力をあげ、賃金、労働時間をはじめとする労働諸条件の交渉を強化するとともに、現下の状況において勤労者の雇用と生活を守っていくことが必要である。このため、労働条件の取り組みと政策制度からの取り組み強化が不可欠との認識のもと、国民の生活が第一とする民主党政権との連携を深めつつ、車の両輪として2010闘争を強力に推進していく。
I.取り巻く情勢について
○GDPはマイナス成長
実質GDPは、2009年1〜3月期まで4期続けてマイナス成長となった後、4〜6月期(年率換算+2.3%)に続き7〜9月期(年率換算+4.8%)もプラス成長となった。しかし、前年度比で見ればマイナス成長となっていることや、景気対策の効果がいつまで続くかなどの懸念も残る。
2008年の年末以降急激な減産と、在庫調整は経済成長のマイナス要因となるが、その在庫調整が一巡し生産も回復基調にあるため、今後の景気の回復にはプラス要因となる。しかし、生産の水準は昨年の夏に比べればその水準は低いことに加え、消費、住宅、設備投資の動きも弱い。
○減益が続く企業収益
2009年度の企業収益は、前年度に続き大幅な減益が予想されている。日銀短観によれば、全産業・規模計の2009年度の経常利益は19.3%の減益、うち製造業は39.1%の減益、非製造業は9.8%の減益見込みであり、景気回復過程で大きな利益をあげた製造業を中心に大きく落ち込んでいる。製造業の中でも中小企業は46.2%の減益と厳しい見通しとなっている。2009年9月期の中間決算は、大手製造業を中心に、3月期の大幅赤字から黒字へと改善されたものの、先行きに対しては慎重な見通しとなっている。
○厳しさが続く中小企業
給付金やエコ減税をはじめとする経済対策の効果もあって、大企業の製造業を中心に企業の景況感が改善し上向きとなっている。しかし、中小企業の景況感は下降とみる企業が依然として多い。また、国内の景況についても、大手企業は先行きに明るさが見られものの、対照的に中小企業は、厳しい見通しとなっており、取り巻く環境は依然として厳しさが続くと見られる。なかでも、国内需要の依存度が高い非製造業で厳しく見ている。
○低下が続く賃金水準
一時金、残業込みの「現金給与総額(毎勤統計・5人以上事業所)」は、昨年の年末1%台のマイナスであったものが、2009年に入ると2%〜3%にマイナス幅が拡大した。夏の一時金の支給時期である6月はマイナス7.0%、7月はマイナス5.6%となった。9月はマイナス幅が縮小しているものの1.6%減となっている。
長期的に見た賃金も低下している。賃金構造基本統計調査で平均所定内賃金の推移をみると、2001年の305,800円をピークに2008年は299,100円に下がった。このことは、いざなぎ越えといわれた景気回復過程においても労働者へ分配がされなかったことを表している。
○物価下落の中でも、弱い消費行動
消費は経済効果が出ている面もあるが、賃金の低下や残業の減少、一時金削減の影響で、百貨店やスーパーなどの小売業は売上の減少が続くなど、全体としては低迷している。
消費者物価(生鮮を除く総合)は、8月に2.4%の下落と過去最大の下落を記録したあと、9月も2.3%の下落となった。このように物価の下落が続いているのは、昨年高騰した石油関連製品などの価格が下がったことに加え、外的要因の影響が少ない商品も、消費への刺激とコスト競争の激化により価格が下がっているためである。
価格下落の背景としては、賃金が長期的に下落するなかで低所得者層が増加し、さらには、不況の影響から一時金などが大幅に減少したことによる消費減退に対する刺激策として、低価格化に拍車がかかったためと考えられる。低価格化のためには、コスト削減が必要であることから、労働者の労働条件の引き下げ圧力となっている。この悪循環を断ち切り生活を守ることが必要となっており、政労使すべての関係者がそれぞれの役割を発揮することが求められている。
○過去最悪の雇用情勢
9月の完全失業率(季節調整値)は5.3%となり、過去最悪だった7月(5.7%)に比べ0.4ポイント改善した。リーマン・ショック以降の急激な雇用の悪化に、歯止めがかかった格好だが、過去最悪の状況が続いていることに変わりがない。また、9月の有効求人倍率(同)は0.43倍と8月に比べ0.01ポイント上昇したが、過去最低の水準で推移している。正社員の有効求人倍率は0.26倍で、前年の半分以下の水準に落ちている。また、高校生の就職市場が深刻さを増しており、厚生労働省によれば、来春の高校卒業予定者に対する7月末の求人数は約13万5千人で、前年同期比の半分近くにまで落ち込んでいる。
今後の雇用情勢について先行きは、厳しくなると指摘する声も多いが、連合は、引き続き、雇用の安定・創出に向けた取り組みに全力を傾注しなければならない。
○減少した労働時間(ワーク・ライフ・バランスの実現)
2008年秋以降の世界的な不況の中で、輸出関連産業を中心に大幅な減産をした結果、労働時間も残業を中心に大幅に減少した。毎勤統計で見た製造業の所定外労働時間は、2009年第1〜3月期は45.6%(前年同月比)減少、4〜6月期も43.1%(同)減少したあと、7〜9月期は29.1%(同)の減少と、生産の持ち直し等で減少幅が縮小した。全産業で見た所定外労働時間も2月、3月に20%超減少したあと、徐々に減少幅が縮小し9月は14.1%の減少となった。
雇用の確保やワーク・ライフ・バランスの実現の観点からも、このように減少した労働時間をもとの長時間労働に戻させない取り組みが必要である。
II.2010総合生活改善闘争の取り組み
2010春季生活闘争では、日本経済・社会の底割れに歯止めをかけ、賃金水準の低下を阻止し、全労働者の生活を維持、防衛する観点から取り組みを強力に展開する。そのためには、[1]内外需バランスのとれた経済の実現、[2]企業部門と家計部門の配分のアンバランスの是正、[3]雇用の安定・創出と処遇バランスをはかっていくことが不可欠である。
こうした観点から、職場で働くすべての労働者を対象に処遇の維持・改善に取り組む。このため、賃金水準を維持するとともに、必要な場合は格差是正に取り組む。さらに、均等・均衡に向けた処遇改善をはかるとともに、最低賃金等の引き上げによって底上げをはかる。そして、こうした結果を社会全体に波及させるため、共闘連絡会議の機能強化をはかるとともに、法定最低賃金を引き上げるため取り組みを強化し、社会全体の底上げをはかっていく。また、あらゆる方策で総実労働時間の縮減をはかり雇用の安定・創出につなげていくとともに、雇用確保に向けた労使協議を徹底する。
さらに、今次闘争では、景気回復、雇用の安定・創出、生活防衛をはかるため、車の両輪として政策制度取り組みを位置づけ、総合生活改善のための取り組みとして闘争を強力に推進していく。
1.2010春季生活闘争の具体的な推進
(1)春季生活闘争の取り組みの柱と体制強化
1) 取り組みの柱
[1] 全労働者を対象に春季生活闘争を推進
非正規労働者も含めすべての労働者を対象に賃金、労働時間等を含めた労働諸条件の改善に取り組む。このため、組合員の労働条件の改善や格差是正の取り組みとともに、組合員ではない労働者に対しても、処遇改善をはじめ様々な課題に取り組む。そして、企業内最低賃金協定の締結拡大、水準の引き上げによって底上げの取り組みを展開する。
[2] 賃金水準維持の取り組みの徹底
賃金水準の低下に歯止めをかけ、その水準を維持するためには、賃金制度を整備し、個別ポイントにおける絶対水準を重視していく必要がある。連合は、こうした取り組みも含め、すべての組合で賃金カーブを維持する取り組みを産別の指導の下で徹底する。また、大手と中小の賃金格差は拡大傾向にあるため、今次闘争においても格差是正の取り組みを推進する。
[3] 雇用の安定・創出に向けた取り組みの強化
連合は、180万人の雇用創出をはじめ、雇用の安定・創出に関わる政策制度の実現に向けた取り組みを強化するとともに、総実労働時間の徹底縮減による雇用の安定・創出をはかっていく。
このため、仕事量の減少により、この間に減少した労働時間をもとの長時間労働にもどさせないことを含め、産業の実態に応じたあらゆる方策による総実労働時間の縮減、労働時間の上限規制の徹底、過重労働をさせない取り組み等により、ワーク・ライフ・バランスの実現と非正規労働者も含めた雇用の安定・創出をはかる。また、中期時短方針に基づく最低到達目標の達成への取り組み強化や、労基法改正に伴う労働協約の整備(時間外・休日割増率50%の実現等)を行う。
[4] 共闘連絡会議の体制強化
2010春季生活闘争を推進し賃金の社会的横断化をはかるため、回答ゾーンの設定、中核組合の登録拡大と、共闘連絡会議の機能強化のため代表銘柄(労働者の職種、年齢、賃金水準など)を設定する。そのうえで、中核組合を中心に賃金引き上げ結果などについて開示し、中小労働者、未組織労働者へと相場の波及をはかっていく。
[5] 政策・制度との連携強化
内需を中心とした景気の回復と雇用の安定・創出で生活防衛をはかっていくため、政権交代後の2010春季生活闘争では、これまで以上に政策・制度実現に向けた取り組みとの連携を強化していく。
2) すべての組合が取り組むべき課題(ミニマム運動課題)
[1] 賃金カーブ維持分を必ず確保する。
[2] 非正規労働者を含めた全労働者を対象に、賃金をはじめとする待遇改善に取り組む。
[3] 賃金の底上げをはかるため企業内最低賃金協定の締結拡大と、その水準を引き上げる。
[4] 減少した労働時間をもとの長時間労働にもどさせないよう、産業実態をふまえた総実労働時間の短縮や、時間外・休日労働の割増率の引き上げ等によって、雇用の安定・創出をはかる。
(2)具体的な労働条件の要求と取り組み
1) 賃金水準の維持、底上げ、歪の是正のための取り組み
[1] 賃金改善の取り組み
i) 賃金水準の低下を阻止するため、賃金カーブ維持分の確保をはかる。
賃金制度が未整備な組合は産別指導のもとで、連合が示す1歳・1年間差の社会的水準である5,000円(*)を目安に要求を行い、賃金水準の維持をはかる。
(*)賃金に関して最も規模の大きい統計である厚労省・賃金構造基本統計調査から全産業・規模計(基本賃金ベース)における1歳・1年間差は、5,000円(時間給30円:月所定労働165時間で計算)程度と推計する。
ii) そのうえで、各産別は産別・単組の実態をふまえ、産業・規模間格差や企業内の賃金体系上の歪や賃金分布の偏りの是正も含めて、賃金改善に取り組む。
[2] 賃金水準重視の取り組み
i) 各産別・単組はより賃金の水準を重視(絶対額水準)した取り組みを徹底し、個別賃金水準の維持をはかる。また、賃金制度が未整備な組合は、産別の指導のもとで整備に向けた取り組みを行う。
ii) 生活の基礎である月例賃金の維持・改善を最優先した闘争を推進していくが、一時金を含めた年間収入の維持についても、生活防衛の観点からその水準の確保に努めるものとする。
[3] 18歳高卒初任給の参考目標値 …… 162,000円
産別方針をふまえ、初任給の決定に対して積極的に関与していく。
[4] 企業内最低賃金協定締結の拡大と引き上げ
i) 企業内最低賃金の協定の締結拡大と水準の引き上げをはかる。全従業員対象の最低賃金協定は、連合リビングウェイジの水準(別紙参照)を目標に行う。
また、特定最低賃金(産業別最低賃金)の引き上げに結びつく企業内最低賃金協定を締結する場合は、連合リビングウェイジの水準を上回り、その産業に相応しい水準の協定をはかる。
ii) 法定最低賃金の大幅引き上げ
企業内最低賃金への取り組みを法定最低賃金へ連動させるとともに、地域別最低賃金の大幅引き上げと特定最低賃金の新設に向けた取り組みを強化する。地域別最低賃金は、最低限の生活が可能な水準へ引き上げるために審議会対応に全力をあげる。
[5] 賃金水準等の情報開示について
各産別は、社会的相場形成と波及力を強化するため、中核組合を中心に賃金カーブ維持原資、賃上げ額とその賃金水準の明示・開示に責任を持つ。
2)非正規労働者の処遇改善をはじめとする様々な課題への取り組み
すべての産別・単組は、非正規労働者の賃金の引き上げや正社員化等様々な課題について労使協議・交渉を推進し、労働者全体の底上げ、処遇の改善をはかる。一方、非正規労働者の賃金のあり方については、正規労働者との均等・均衡の観点から取り組みについて検討する。
今次闘争における非正規労働者に対する取り組みとして、非正規労働者の賃金をはじめとする処遇改善をはかるとともに、[1]非正規労働者の実態把握、[2]派遣労働者を受け入れている場合は、社会・労働保険の加入状況の点検、[3]非正規労働者を対象にした正社員転換制度の有無、創設などに関する交渉・協議を行う。
3)中小・地場の取り組み(中小共闘方針抜粋)
[1] 賃金水準改善のための水準値
賃金水準の回復と底上げには、上げ幅だけではなく高さで測る実態賃金の水準を引上げることが重要である。組合員の賃金水準の低下を防ぎ改善をめざす取り組みとして、到達すべき(しているべき)水準値を参考指標とし設定する。
加えて、地域における目標値は、地方連合会が設定する。
○到達すべき水準値(参考)
25歳 185,000円
30歳 210,000円
35歳 240,000円
40歳 265,000円
[2] 賃金引上げ要求目安
○賃金カーブの算定が可能な組合
賃金カーブの確保・カーブ維持分の労使確認+500円以上(賃金改善分)
○賃金カーブの算定が困難な組合
5,000円以上とする。
賃金カーブの確保相当分4,500円(目安)+500円以上(賃金改善分)
賃金水準改善のための水準値と賃金引上げ要求目安は、地域ミニマム運動の個別賃金データより算出。
4) パート労働者等の処遇改善(パート共闘方針抜粋)
[1] 均等・均衡待遇実現への取り組み
構成組織・単組は、「ガイドライン(補強版)」およびパートタイム労働法を活用しながら、それぞれの実情に応じて中期的重点項目を設定し、労働条件や人事諸制度の均等・均衡待遇の実現へ向けた取り組みを推進する。
また、2010春季生活闘争においては、昨年に引き続き重点項目を設定し、参加構成組織が連携して取り組み、最大限の成果をめざす。
○2010重点項目
i) 昇給ルールの明確化
ii) 一時金の支給
iii) 正社員への転換ルールの明確化・導入
iv) 通勤費・駐車料金
v) 慶弔休暇
vi) 正社員と同様の時間外割増率適用
[2] 時間給の引き上げへの取り組み
連合が掲げる「誰もが時給1000円」や、全国的な地域別最賃の引き上げ、成果配分、正社員との格差是正等を勘案し、次のi)からiii)のいずれかに取り組む。
i) 絶対額1000円程度
ii) 単組が取り組む地域毎の水準については、構成組織は現状を踏まえ中期的に「県別リビングウェイジ」を上回る水準となるよう指導する。
iii) 引き上げ額・・・30円程度(引き上げ額は定昇込みの金額とする)
[3] 組織拡大にむけた取り組み
産別と単組が連携し、単組の実態把握および、それに基づく取り組み方針・ステップを明確にし、着実な取り組みによって組織拡大をめざす。
5) 総実労働時間の縮減によるワーク・ライフ・バランス実現と雇用の安定・創出
[1] 総実労働時間縮減の取り組み
i) 昨年秋以降に減少した労働時間を、もとの長時間労働にもどさせないことなどにより、雇用の安定・創出につなげる。
ii) 労働時間の上限規制(特別条項付き36協定)を行い、その範囲内に収めることを徹底する。また、仕事と仕事の間のインターバル休息(睡眠、食事などの生活時間の確保)等を設けることによって、過重労働を避け健康を確保する。
iii) 休日増をはじめとする所定労働時間の短縮、年次有給休暇の取得促進、労働時間管理の徹底など、産業の実態に合わせた取り組みを推進する。
[2] 中期時短方針の最低到達目標の達成(最終年度)に向けた取り組み
i) 年間所定労働時間2000時間を上回る組合は、2000時間以下とする。
ii) 年次有給休暇の初年度付与日数を15日以上とし、有給休暇の取得日数の低い組合員の取得促進をはかる。
iii) 時間外労働等の割増率が法定割増率と同水準にとどまっている組合は、上積みをはかる。
[3] 割増率の引き上げ
労基法改正に伴う労働協約整備への対応方針にもとづき割増率の引き上げをはかる。
○時間外労働が月45時間以下 30%以上
○時間外労働が月45時間超 50%以上(対象期間が3ヵ月を超える1年単位の変形労働時間制は、月42時間超を50%以上)
○休日50%以上
以上のほか、代替休暇制度については導入しないことを基本とし、時間単位の年次有給休暇の取得については、日単位の取得が阻害されないことを前提に、労使協定の締結を進める。
[4] ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた取り組みの推進
政府のワーク・ライフ・バランス推進官民トップ会議で確認された「ワーク・ライフ・バランス憲章」にもとづき「仕事と生活の調和推進のための行動計画」が策定されたのを受け、連合は「ワーク・ライフ・バランスの具体的取り組み(2008年2月)」を確認した。また、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けて「働き方改革宣言(2007年9月)」を発信していくことも確認した。以上の方針にもとづき、労働時間の短縮、雇用対策、安全・衛生対策、子育て支援策などについて、政策・制度の実現に向けた行動、職場における取り組みを強化していく。
[5] 労働時間管理の徹底と管理監督者の取り扱いの適正化
出退勤時間管理の徹底等によって正確な労働時間を把握し、36協定を時間外労働の限度基準(1998年・労働省告示154号)に適合させる。同時に、その協定内容をチェックする。また、不払い残業の撲滅と、長時間にわたる時間外・休日労働を行った労働者に対する医師による面接指導の実施など、労働時間管理の徹底をはかる。
同時に、労基法第41条の「管理監督者」の範囲を不適切に拡大し割増賃金の対象から除外されないよう点検を行う。
6)男女間の賃金格差の是正
[1] 賃金データに基づいて男女別の賃金分布の実態を把握、点検を行い、問題点の改善へ向けた取り組みを進める。
[2] 賃金実態の把握が困難な場合には、賃金制度や人事評価制度の運用実態を把握する。男女間の偏りがある場合は、その偏りの要因を分析して 問題点を明らかにし、賃金制度・人事評価制度の公正・透明な運用を求める交渉に取り組む。
[3] 改正均等法に規定された「間接差別*」の禁止をふまえ、生活関連手当の支給における「世帯主」要件の廃止に取り組む。
* 間接差別とは、外見上は性別に中立な基準であっても、その基準を適用した結果が、一方の性に相当の不利益を与え、その基準について業務との関連性を使用者が立証できない場合は性差別とするもの。均等法改正の審議前段で設置された厚労省の研究会では、「世帯主」要件が間接差別の事例とされた。
7) ワークルールの取り組み
[1] 労働関係法令の遵守の徹底
正規労働者はもとより、パート・有期契約・派遣・請負労働者等について、労働者派遣法、パート労働法や、「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」をはじめとする労働関係法令の遵守を徹底する。
[2] 快適な職場づくり
労働災害のリスクを低減し、快適な職場づくりを推進するとともに、長時間・過重労働対策、メンタルヘルス対策、パワーハラスメント対策なども含め安全配慮義務の履行に向けた取り組みを進める。
[3] 65歳までの雇用確保
希望する者全員が65歳までの就労が可能となる制度の実現をはかる。同時に、働き易い職場を目指し労働環境の整備をはかるとともに、組合員化を推進する。
[4] 改正男女雇用機会均等法の実効性の確保に向けた定着・点検活動
i) ポジティブ・アクションの推進に向けた労使協議を促進する。
ii) 改正男女雇用機会均等法の定着・点検に向け、以下の課題に取り組む。
○配置や仕事の与え方などに男女の偏りがないかの点検と是正
○昇進、昇格などの基準の運用についての点検と是正
○妊娠、出産を理由とする不利益取扱いの点検と解消にむけた取り組み
○セクシュアル・ハラスメント防止措置の実効性を高める取り組み
[5] 改正育児・介護休業法の施行に向けた労働協約化の推進
i) 改正育児・介護休業法(2010年6月末までに施行予定)で義務化された短時間勤務制度や所定外労働の免除、介護休暇制度などについて職場で点検を行い、必要な場合は協定の見直しに取り組む。
ii) 2012年6月末まで、改正法の一部制度の適用が猶予される100人以下の企業についても、必要な協定の見直しとともに、積極的な制度導入に取り組む。
iii) 勤務時間の短縮措置の対象外となった場合には、フレックスタイムや始業終業時刻の繰り上げ下げなど、改正法に基づく代替措置の導入に取り組む。
[6] 裁判員休暇(有給)制度に関する労働協約の締結
労働時間中に、裁判員候補者として地方裁判所の呼び出しを受けた場合、および裁判員として地方裁判所に出席する場合は、有給扱いとする労働協約の締結を進める。
[7] 障がい者雇用の促進
障がい者雇用を進めるため、職場における障がい者の実雇用率を点検し、それが法定雇用率(1.8%)に達していない場合は、その達成を労使協議で求めるとともに、障がい者が働きやすい職場づくりへの取り組みを進める。
2.政策・制度の実現に向けた取り組み
2010年度政策・制度実現の取り組みと2010春季生活闘争における賃金・労働条件改善の取り組みを「車の両輪」として、運動の相乗効果を高めつつ、総合生活改善闘争を強力に進める。
具体的には、春季生活闘争との関連で取り組むべき以下の政策課題の実現をめざす。
(1)景気・消費回復に資する総合経済対策
[1] 「連合の180万人雇用創出プラン」および政府の緊急雇用対策の着実な実行に向けた予算措置の実現
[2] 中小企業・地場産業の育成・支援と地域経済活性化の実現
(2)雇用の安定・確保と雇用創出
[1] 政府の緊急雇用対策(緊急支援措置)の着実な実行
[2] 雇用調整助成金の要件緩和などの対策に必要な追加的予算措置の実現
(3)雇用保険法・労働者派遣法の改正
[1] 労働者保護の視点にたった労働者派遣法改正
[2] 雇用保険制度の拡充と緊急人材育成・就職支援基金の恒久化
(4)最低賃金の引き上げ
生活できる最低賃金への水準引き上げと法令の周知、監督行政の強化
(5)医療・介護労働者の処遇改善と持続可能な医療・介護提供体制の確立
[1] 国民の視点にたった診療報酬改定と地域の医療提供体制の確保・充実に向けた財源確保
[2] 持続可能な介護保険制度確立のための介護労働者の処遇改善
(6)公契約基本法と公契約条例の制定
(7)公務労使関係の抜本改革による労働基本権の確立
あわせて、民主党を中心とする新政権との連携をさらに深め、政策・制度実現を強力に推進するため、政府との政策協議態勢を整備・充実させる。
具体的には、政府の予算編成の考え方や重要政策に関するハイレベルの「政府・連合トップ会談」(仮称)、具体的な政策に関する意思疎通を行う「政府・連合定期協議(仮称)」、政策分野別の省庁別協議など、多層的かつ機能的な政策協議を実施する。
III.闘いの進め方
連合は、大手と中小の賃金格差が拡大を続けていることなどから、春季生活闘争における相場波及効果が薄れてきていると判断し、賃金カーブ維持分、回答、賃金水準などの情報開示を積極的に行い、中小や未組織労働者の賃金改善、処遇改善につながるよう運動を展開してきた。こうした運動をさらに前進させ、社会的に賃金水準の形成をはかるために、2009年に創設した共闘連絡会議の機能強化を行い、賃金の社会的横断化を求め春季生活闘争を展開していく。加えて、社会的キャンペーンの展開や、最低賃金等の引き上げ等によって全労働者の底上げに向けた取り組みを強化する。
(1)闘争体制について
[1] 共闘連絡会議の機能強化、有志共闘の強化
2年目を迎えた共闘連絡会議は、将来的には共闘としての役割を発揮するため、共闘連絡会議の機能強化に努めていく。同時に、その目標の達成に向け、有志共闘の取り組みを継続・強化する。
[2] 代表銘柄の設定と中核組合の登録
賃金の社会的横断化をはかる観点から、共闘連絡会議ごとに各産業の代表銘柄(労働者の職種、年齢、勤続)の賃金水準の設定を進める。これに基づき、産業・企業と比較した賃金の位置づけを明確化し、格差是正や体系整備等、中期的な取り組みを推進していく。
共闘連絡会議に参加する各産別は、先行組合としての役割を担う中核組合を登録する。中核組合は、原則として規模別にそれぞれ設定し、情報の開示を積極的に行い、より波及力を高めることを目的とする。
[3] 要求書の提出
原則として2月末までに提出する。
[4] ヤマ場の集中化に向けた取り組みの強化
共闘連絡会議を中心に春季生活闘争全体を牽引していく観点から、集中回答の時期については、拡大戦術委員会のほか、共闘連絡会議代表者会議(仮称:闘争を牽引する共闘連絡会議ごとに2名程度の代表者を選出する)を設置し調整を行う。
また、ヤマ場の集中化に向け、共闘連絡会議ごとにその取り組みを検討する。
[5] 拡大戦術委員会と共闘連絡会議との連携
戦術委員会(三役メンバー)に各共闘連絡会議・各共闘(中小・パートなど)の代表参加を求め、拡大戦術委員会とし、その機能を強化する。拡大戦術委員会は情報把握・交換を行うとともに戦術決定を行う。その開催のあり方については、戦術決定やその徹底などの目的に照らし検討する。
[6] 労働基本権にこだわる闘争の展開
今次闘争においても、労働基本権にこだわる交渉と闘争を推進する。
[7] 中小共闘、パート共闘会議の参加拡大と強化
中小共闘(中小共闘センター)、パート共闘は、それぞれの共闘に参加する産別と地方連合会の連携の強化により相場波及をめざす。また、地方連合会における共闘を強化しつつ情報交換を通じ、地場における交渉の促進と相場形成をはかる。
[8] 非正規労働者の処遇改善のための社会的キャンペーンと労働相談の実施
今次闘争では、政府の緊急雇用対策と連動した年内の雇用と就労・自立支援対策の実施に合わせ、非正規労働者の処遇改善のための社会的キャンペーンや、労働相談等を12月〜2月にかけて推進する。
(2)相場波及のための体制強化と情報公開
代表銘柄の集計と公表を効果的に行い、相場波及効果を一層高める取り組みを推進する。同時にマスコミ対応の強化をはかる。
(3)経営者団体との協議・対話の促進
連合は、日本経団連をはじめとする経営者団体との協議・対話の促進をはかるとともに連合の主張を展開していく。また、産業レベルにおいても労使の協議・対話を推進する。
以上
<日程>
11月5日〜6日中央討論集会(基本構想にもとづき討議)
11月10日労働条件担当者会議
11月10日中小労働委員会
11月16日労働条件委員会
11月17日パート共闘会議
11月17日三役会
11月19日中央執行委員会
11月24日格差是正フォーラム
12月3日中央委員会(2010春季生活闘争闘争方針 決定)