1.はじめに
- 連合は、2010春季生活闘争を「総額人件費抑制の経営姿勢を転換させ、日本の社会経済システムを立て直すターニングポイント」と位置づけ、人を大切にし、人に投資することで付加価値競争力を強化し、日本再生への道を切り拓くべく闘ってきた。
- 現時点での交渉の結果は、共闘連絡会議を中心に力を結集し、経営側が主張する定昇凍結や制度見直し論を跳ね返し、連合全体としては概ね賃金カーブを確保、賃金低下傾向に一定の歯止めをかけることができたと考えている。しかし、短期利益追求、総額人件費抑制の経営姿勢を転換させるまでには至らず、今後に課題を残すこととなった。
- また、「すべての労働者を対象にした処遇改善」に関する取り組みについては、非正規労働者に関する要求もしくは取り組みを行った組合でみると、最終結果(7月1日)は3,161組合(前年比+685組合)となった。この取り組みの重要性の認識が拡大、今後の取り組みを支えるための基盤が強化され、連合として非正規労働者の処遇改善にむけて大きな一歩を踏み出すことができたと考える。
2.取り組みの特徴と問題点
(1)取り組みの基本的な考え方
- 日本経済は90年代初めのバブル崩壊から約20年間、成長度合いではアジア各国や欧米諸国にも遅れをとるなど低迷を続けている。経済を牽引する新たな産業も育っておらず、短期利益追求の経営姿勢に伴う非正規労働者の過度な増加、人員削減、高齢者の大量退職も相俟って、現場力は低下、産業・企業力は弱体化している。また、賃金は10年前の水準から7.6%も低下し、そのため消費は低迷、デフレからの脱却もできず、景気の先行きも見えない。
連合はそうした経済の閉塞感を打ち破るべく、現在を日本経済の存亡の危機と捉え、2010春季生活闘争の基本的な考え方として、[1]内外需のバランスの歪み、[2]家計と企業部門の配分のバランスの歪み、[3]雇用と処遇のバランスの歪みという日本経済社会における3つの歪みの是正を挙げ、取り組みを展開した。 - 賃金の取り組みは、厳しい経営状況を反映し、最低限の要求としてこれ以上の賃金水準の低下をいかに阻止するかに、格差是正の視点も含め最大の運動の力点を置くこととした。一方、もう一つの運動の柱として打ち出した「非正規労働者を含め、職場で働くすべての労働者を交渉の枠内に入れ、処遇の維持・改善を行う」取り組みは、雇用・労働の大きな課題として社会的にも注目をうけ、今次闘争における焦点の一つとなった。
(2)結果と評価
[1]賃金カーブ維持分(定昇およびその相当分)の確保による賃金水準の維持
- 2010春季生活闘争では、従来にない取り組みとして賃金構造基本統計調査から算出した1歳・1年間差の社会的水準である5,000円を目安に、1999年以来11年ぶりに額を提起し、すべての労働者に対して同じ考え方で賃金水準低下阻止のための取り組みを提起し、運動を展開した。また、共闘連絡会議を中心に、3月12日には交渉前段の取り組みとして中核組合(395組合)における賃金水準、賃金カーブ維持分(定昇およびその相当分)の開示を行った。これは、定昇が制度として確立していない職場においても、中核組合の賃金カーブ維持分(定昇およびその相当分)・賃金水準を参考にしながら賃金カーブの維持を確保しようというものであり、同時に「上げ幅」の運動から「絶対水準」をめざした運動へと切り替えて行くといった大きな意味もあった。こうした運動を連合全体で推進したことの意義は大きい。
- 平均賃金方式の最終集計(7月20日)では、加重平均で4,805円(1.67%)となり、昨年の最終結果と比べほぼ同じ水準となった。
[1]平均賃金方式(組合員数による加重平均) 平均賃金方式 2010回答(2010年7月20日集計) 昨年対比 集計組合数 引上げ額 引上げ率 集計組合員数 4,061組合
1,981,938人4,805円 1.67% -43円
0.0ポイント[2]共闘連絡会議 共闘連絡会議 集計組合 組合員1人あたりの加重平均 組合数(組合) 人員(人) 2010回答 2009回答 金額(円) 率(%) 金額(円) 率(%) 金属
科学・食品・製造等
流通・サービス・金融
インフラ・公益
交通・運輸1823
1009
755
249
225915,923
370,236
339,559
123,787
232,4335,114
4,951
4,541
3,886
4,2261.78
1.70
1.65
1.33
1.424,947
5,180
5,015
4,217
3,8311.71
1.72
1.80
1.47
1.31[3]個別賃金方式(組合数による単純平均) 2010回答(2010年7月1日集計) 集計組合数 引上げ額 引上げ率 回答到達水準 集計組合員数 35歳A方式 190組合
177,178人519円 0.18% 289,486円 30歳A方式 104組合
66,659人982円 0.39% 250,540円 35歳B方式 84組合
78,618人5,653円 2.06% 279,248円 30歳B方式 64組合
25,445人6,056円 2.42% 256,380円 - 最終集計においては、概ね賃金カーブを確保し、賃金水準を維持しており、また、不十分ではあるものの、賃金デフレの流れを押し返す一定の効果があったと受け止めている。(なお、賃金カーブ維持分(定昇およびその相当分)の確保が実際にどの程度できたかについては、全単組を対象とした集計結果を待つ必要がある。)また、賃金カーブ維持の取り組みの重要性について従来に増して理解がすすみ、そのことは今後の取り組みへの足がかりとなったと考える。
- しかし、3月ヤマ場での回答引き出しでは昨年と同一組合で同程度の回答を引き出していたものの、その次のゾーンにうまく波及せず、中小零細における引き出しがすすむにつれ、回答水準も徐々に下がった。こうしたなかで、中小共闘の最終結果(7月20日)は、昨年比208円上回ったものの単純平均で3,389円(1.40%)にとどまった。3月末以降の中堅・中小の取り組みの工夫、交渉の舞台が地域に移ってからの、地場での取り組み等について、社会的な波及力を強化する観点からの検討が必要となっている。
- 一方、方針では産別・単組の実態をふまえ、産業・規模間格差や企業内の賃金体系の是正など賃金改善の取り組みを行うとしたものの、経営状況の厳しさから賃上げ要求=ミニマムの取り組みとなったことで中小としての取り組みの展開が難しく、賃金カーブ維持の取り組みだけでなく、今年設定した代表銘柄をうまく活用した工夫が必要なのではないかとの意見もあった。
[2]非正規労働者を含むすべての労働者の労働条件向上の取り組み
- 連合は、今年の春季生活闘争で初めて「すべての労働者を対象にした処遇改善」を要求に掲げ、積極的な取り組みを行った。この取り組みを行った組合は3,161組合となっており、これは、昨年最終結果(2,476組合)に比較して685組合多い結果となった。また、3,161組合のうち派遣、請負労働者に関する労使協議等を行った組合は1,239組合にのぼり間接雇用労働者に対する取り組みも進みつつある。
- 非正規労働者に対して積極的に取り組んだところもあるが、そうした取り組み状況を集約する体制がいまだ十分とはいえず、現時点での評価も困難な状況にある。今後、集計の方法についても早急に工夫をしていく必要がある。しかしながら、集計からは、時給の改善に加え、最低賃金協定の拡大・水準引き上げ、労災付加給付額の適用拡大・引き上げ、各種休暇制度の導入、正社員化、定昇や退職金制度の導入など、多様な観点からの処遇改善が進んでいることが伺える。
- 一方で、パート共闘の集計による時給の改善状況は、11円強(11.35円)となり、昨年よりも2円程度低い結果となった。パート労働者の処遇改善に取り組んでいると報告のあった組合数も増加したことに加え、交渉環境が厳しい中で、底上げという点で一定の役割を果たしたと考える。なお、非正規労働センター構成組織担当者会議でも、パート共闘の取り組みを共有するなど、共闘不参加の構成組織における取り組みの波及に努めた。
- また、組合員以外の労働者に対しては、春季生活闘争と連動させ、キャンペーンとしての取り組みを展開した。非正規雇用労働者との交流、相互理解の推進を目的とした「共感力UP!職場から始めよう運動」をすべての構成組織、地方連合会で推進した。この運動は、未組織労働者を含め非正規労働者の処遇改善を進めていく上で、組合員の理解拡大を進めるための重要な取り組みであり、今後も通年的に継続して取り組みを推進していく必要がある。
また、労働組合に加入しない労働者が自らの労働条件をチェックするためのサポートとして実施した「ワークルールチェッカー」は2ヶ月強の期間で約20万件のアクセスを得るなど、多くの労働者に気づきの機会を提供できたことに加え、回答者のおおよそ8割で労働法が遵守されていない実態があらためて明らかとなった。
派遣事業者団体との協議については、日本人材派遣協会(以下派遣協)、日本生産技能労務協会(技能協)と各々数回の協議を重ね、技能協とは4月26日、派遣協とは5月24日に共同宣言をとりまとめ公表した。「ワークルールチェッカー」及び派遣事業者団体との協議は、多くのマスコミにも取り上げられ、すべての働く者のために取り組む連合の姿勢を広く社会にアピールできたものと考える。加えて、2010春季生活闘争と連動した組織拡大キャンペーンの一環として実施した「全国一斉労働相談ダイヤル(4.22、23)」については、各地方連合会や本部による街宣行動、各種PR活動も相まって、昨年を上回る691件(昨年+277件、47地方連合会報告分+本部分)もの相談が寄せられ、組織化のきっかけづくりにつながっている。
[3]賃上げ相場の波及と情報開示
- ア.共闘連絡会議の取り組み
- 共闘連絡会議ごとに濃淡はあるが、とくに集中回答ゾーンへの集中度については明らかに前進し、代表銘柄の設定や、中核組合の拡大および賃金水準、賃金カーブ維持分(定昇及びその相当分)の情報開示などは、2年目を迎えてかなり進んだものと受け止めている。
- イ.情報開示の取り組み
- 賃金水準維持のために運動として展開した賃金カーブ維持分(定昇及びその相当分)の開示については、構成組織に対して中核組合(395組合)の実態値を参考として提示すると同時に、社会的にも公表した。これは、今年はじめて行った取り組みであったが、各構成組織の協力によって来年以降の確実な足がかりにはなったと判断している。
- また、今年から「代表銘柄」として62銘柄を設定した。この設定は、企業別交渉のもとで労働条件が企業ごとに積み上げられていく状況のなかで、ナショナルセンターの役割として大括りの職種別、業種別に賃率を形成していくことを目的としたものである。具体的な賃金指標を公表したことで、分かりやすい運動につながったことへの評価がある一方で、構成組織によって設定の仕方にバラつきがあるという意見もあったが、全体としては賃金水準の社会化にとっての大きなステップになったと評価ができる。今後、第2ステップとしての代表銘柄の拡大を期待したい。
[4]労働時間の短縮、ワーク・ライフ・バランス実現の取り組みについて
- 労働基準法の改正(4月1日施行)に対応した割増率の引き上げについては、大手組合を中心に報告があった内容からすると、月60時間の算定基礎に時間外労働に休日労働を加えるところが多く、法を上回るものとなった。しかし、方針で「月45時間超で50%以上」とした割増率の取り組みについては、法定どおりの内容となったところが多い。全体の動向については、今後の調査を見ていく必要がある。
- 中小労組を中心とした最低到達目標への取り組みについては、一部で成果をあげているものの、全体的には今後の取り組みの強化が必要と判断せざるを得ない。最低到達目標は、2009年度で一応の区切りとなっているため、今後の取り組みについてどう進めるか検討をしていく必要がある。
[5]政策制度との連携
企業業績の回復が思わしくなく、交渉環境が厳しいなかで、可処分所得の増大というナショナルセンターとしての社会的責任を果たすべく、2010春季生活闘争は、政策・制度実現への取り組みと春季生活闘争の推進を車の両輪として運動を展開してきた。本年は政権交代が実現して、はじめて迎える春季生活闘争でもあり、従来以上に政府と緊密に連携した取り組みをすすめ、優先順位をつけた取り組みを展開した。
具体的な取り組みとしては、[1]景気・消費回復、雇用・生活防衛のための総合経済対策の効果的な実施、[2]雇用の安定とセーフティネットの整備・拡充、[3]安心して暮らせるための社会保障制度の確立の3本柱を中心とする政策課題に取り組んだ。
《主な取り組み経緯と成果》
連合は、第4回中央執行委員会(2010年1月21日)において、第174回通常国会に上程される法案や審議会への対応を中心とした「2010年度政策・制度実現『当面の取り組み方針(その3)』」を確認し、「政府・連合トップ会談」「政府・連合定期協議」など政府との政策協議や、首長・地方議会・地方自治体に対する要請行動などを通じて、連合本部・構成組織・地方連合会が一体となった運動を推進した。
具体的には、2010年度政策・制度実現の取り組みと2010春季生活闘争における賃金・労働条件改善の取り組みを「車の両輪」として、運動の相乗効果を高めるため、政府が2009年12月に策定した「明日の安心と成長のための緊急経済対策」のための2009年度第2次補正予算及び2010年度予算の早期成立に取り組んだ。また、[1]景気・消費回復に資する総合経済対策、[2]雇用の安定・確保と雇用創出、[3]雇用保険法・労働者派遣法の改正、[4]最低賃金の引き上げ、[5]医療・介護従事者の処遇改善、[6]公契約基本法と公契約条例の制定、[7]公務労使関係の抜本改革による労働基本権の確立に関連する項目について取り組んだ。
その結果、第174回通常国会では、同方針で掲げた多くの事項が実現された。主な成果は以下の通りである。
- 2009年度第2次補正予算(2010.1.28成立。雇用保険の国庫負担分3,500億円の上乗せ措置など)
- 2010年度予算(2010.3.24成立。雇用保険の適用範囲拡大、「協会けんぽ」に対する国庫負担率の引き上げ、診療報酬のプラス改定、「子ども手当」への児童手当財源の充当への対応など)
- 2010年度税制改正(扶養控除から子ども手当への振り替え、高校の授業料実質無料化に伴う特定扶養控除の見直し、租特透明化法の成立など)
- 雇用保険法の改正(雇用保険の適用範囲の拡大、雇用保険に未加入とされた者の遡及適用期間の拡大)
- 「子ども手当法」の制定
- 「高校の実質無償化」の実現(公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律の制定)
- 「医療保険制度の安定的運営を図るための国民健康保険法等の一部を改正する法律」の成立(「協会けんぽ」に対する国庫負担率の引き上げなど)
あわせて、政府における「新成長戦略」の検討に際しては、構成組織からの意見を取りまとめ、政府・連合トップ会談、定期協議など政府との政策協議や雇用戦略対話を通じて意見反映を行った。その結果、6月に閣議決定された「新成長戦略〜『元気な日本』復活のシナリオ〜」に連合の考え方の多くが盛り込まれた。
一方、通常国会に提出された、労働者派遣法の改正案、政治主導確立法案、地域主権改革関連法案は、衆議院で審議未了のまま継続審議となった。地球温暖化対策基本法案は、5月に衆議院で可決されたが、参議院での審議未了・廃案となった。
連合はこの間、2010年度から始めた「希望と安心の社会づくりキャンペーン」の一環として、これまでの取り組みや成果をわかりやすく解説した「私たちの暮らしがこう変わります!」「日本の暮らしは変わるぜよ」チラシを作成し、情宣に努めた。
(詳細は「2010年度春の政策・制度実現の取り組み」等のまとめを参照)
3.今後の取り組みに向けた課題
- 2010春季生活闘争は、賃上げ、時短などの労働条件闘争と、政策・制度要求実現を車の両輪とした闘いとして取り組んできた。今後もグローバル化がすすむ中で外的要因による景気変動や、非正規労働者の急増、少子・高齢社会の進行などの環境のなかで、労働条件闘争と、政策・制度要求の取り組みを一対とした勤労者生活全体に責任を持った取り組みの推進が一層必要となっている。
- 賃上げでは、非正規労働者を含めた処遇のあり方について早急につめていく必要がある。また、時短では、時間外労働の削減や生活時間の確保など、労働時間の二極化の中での取り組みについて検討をしていかなければならない。加えて、中堅・中小の取り組み、地場共闘のあり方などの検討も必要となっている。そして、雇用とセーフティネットのあり方、能力開発などの取り組みもさらに進めていかねばならない。社会保障や可処分所得の増大に向けた政策・制度との連携も重要である。
- これまでの闘いのあり方を見つめ直し、中期的視点に立った春季生活闘争の改革が求められている。2011春季生活闘争に向けては、これら様々な課題を具体的な取り組みにつなげるべく検討を進めていく。
(1)賃金関係
- 絶対水準の引き上げを重視する取り組みへの転換
賃金の相場形成と波及において、もっとも重視されるべきは賃金の絶対水準にあることは言うまでもない。また、共闘連絡会議の運動を更に進めていくためには、個別ポイントにおける絶対水準を重視した取り組みは不可欠である。そのためには、中核組合、代表銘柄による一層の情報開示とともに、賃上げ対象の基準賃金の範囲、ベアと定昇の区別、昇進昇格原資などの賃金公表条件の共通化などの条件整備について、共闘連絡会議を中心にして検討を進め、整備を行う必要がある。また、各共闘連絡会議における具体的な到達目標水準の設定についても検討を進めていく必要がある。
- 賃金カーブ維持の取り組み
賃金水準を維持していくには、賃金制度の整備を通した水準維持のための所要財源を確認するだけでなく、労使間で制度全体の仕組みそのものを検証する必要があるが、こうした仕組みをもたない中小労組に対して、実態把握や事例について連合としてまとめ、それをどう運動に活かしていくか等について検討を行う。
- 一時金について
一時金へのシフトが進むなかで、連合台における運動として一時金取り組みの位置づけを明確にすべきとの意見が多く出されている。これはいかに安定的に年収を確保するかといった意見と受け止められる。今後に向けて、一時金の位置づけや具体的な運動展開についてこれまでの運動経緯もふまえつつ、各委員会を活用し、慎重に検討を進めていくこととする。
- 企業内最低賃金協定の取り組みについて
労働者の賃金の底上げのため企業内最低賃金協定(締結拡大と水準引き上げ)の取り組みを強化し、それを特定最賃の取り組みへと結び付けていくこととする。
(2)すべての労働者を対象にした取り組みの強化と運動の推進
この間、非正規労働者が増大するなかで、労働の需給そのものによって労働価格(労働の対価)が決定される外部労働市場が形成されてきた。しかし、こうした非正規労働者を中心とする外部労働市場と、正規労働者を中心とした内部労働市場とをひとつのテーブルでつなぎ均等・均衡処遇を実現していくことが不可欠である。こうした取り組みは労働組合しかできないものであり、労働組合の基本的責務として均等・均衡処遇を念頭に、どのように運動を展開していくかについて検討を詰めていくこととする。具体的には、均等・均衡処遇を実現していくための一歩として、産業・企業ごとの就労実態などの違いも勘案しつつ、勤続や経験年数などを踏まえた一つのポイントにおいて、各構成組織が共通して運動遂行ができる考え方の整理にむけて、検討を進めていく。
(3)労働時間の短縮
- 共闘連絡会議として労働時間についても主体的な取り組みを行うこととし、中核組合を中心に情報開示を進める。
- また、時間当たり賃金水準を均等・均衡処遇の実現に向けた足がかりとするため、時間当たり賃金の設定について検討を行う。
-
また、毎月勤労統計調査結果によれば総実労働時間、所定外労働時間ともに増加していることから、2010春季生活闘争として取り組んだ、「労働時間をもとに戻らせない取り組み」を強化するとともに、中期時短方針にある「最低到達目標達成」の取り組みに変え、総実労働時間の縮減をすすめていく観点から、統一的な協約課題として労働時間規制の取り組み(休息時間(インターバル休息)、最長労働時間の設定など)を強化する。具体的には各産業、企業の実情に即して共闘連絡会議の中で設定すると同時に、時間外割増率の引き上げ、年休取得率の向上に努めることについて検討する。
また、改正労基法の割増率引き上げにおける中小企業の適用猶予を早期廃止にするとともに、すべての組合で「労働基準法改正に伴う労働協約整備への対応方針(2009年7月)」にもとづき割増率の引き上げをはかっていく。
(4)男女間賃金格差の実態把握と是正、改正育児・介護休業法の定着・点検活動
- 男女間賃金格差の実態把握と是正
男女間の賃金格差の是正には、実態を把握し問題点を拾い出すことからスタートしていく必要があるため、引き続き職場の賃金実態の把握、点検、要因分析を行いながら格差是正のため運動を進めていく。
- 改正育児・介護休業法の定着・点検活動の推進
改正育児・介護休業法の施行に向けた労働協約化推進の取り組みは、1,728組合で要求し、926組合で回答を引き出した。今後は、改正育児・介護休業法の定着とともに、実態把握や事例収集を進め、法を上回る労働協約の締結促進の取り組みを進めていく。
(5)政策・制度取り組みのあり方
春季生活闘争における労働条件改善の取り組みと、政策・制度取り組みとして労働者生活を改善するための取り組みは、今後とも「車の両輪」の取り組みとして一層連携を強化し、運動を推進していかねばならない。こうした観点に立ち、今後とも、春闘期間中の取り組みとして一体的な取り組みとなるよう、重点課題の絞り込みや春季生活闘争における集中的な取り組み態勢の強化など、検討を行っていく。
(6)共闘連絡会議のあり方
- 共闘態勢の強化
- ア. 共闘連絡会議としての統一性と幅を勘案しつつ、何を機軸に取り組みを推進していくかについて検討するとともに、いかに相場形成と波及を図るかといった課題について検討を進める。また、集団的労使関係強化の観点から将来に向けた労使会議の設置について議論を深めることとする。
- イ. 地方段階においてもできる限り共闘連絡会議を設置するなど、地場共闘をこれまで以上に強化する。このため、構成組織の支援・共闘態勢と地場における支援・共闘態勢の有機的な連携と役割分担について検討する。
一方、従来の地域ミニマム運動を強化し、ミニマム集計について地方連合会としてうまく利用できるよう工夫するとともに、地場共闘における相場形成のための指標づくりを行うことも検討する。
- 相場形成機能強化に向けた短期・集中決着態勢
3月の大手組合の回答をいかに4月以降の回答につなげていくか。どのように集約し、波及効果を強めていくかについてさらに具体的な検討を行う。また、今年設定した代表銘柄をどのように活用していくか。精度を高めるための対応を含め、さまざまな検討を行う。
- 規模間格差是正に向けた具体的な取り組みのあり方
これまで日本商工会議所、全国中小企業団体中央会などと連携をとりながら取引問題とコスト分担・付加価値分配のあり方の歪みの是正に向けた取り組みをすすめてきたが、連合全体として優越的地位の濫用防止、規模間格差是正を具体的に前進させる取り組みについて検討する。
- 闘争機関の設置と機能
共闘連絡会議において共闘連絡会議代表者会議、書記長・事務局長会議と設置したことに伴い、今後の拡大戦術委員会の役割やあり方について検討する。
- 官公労働者の取り組みとの連携のあり方
公務員制度改革に伴う労働基本権付与の動向をふまえ、闘争の進め方について連携を深め、取り組みについて検討を行う。
- 組織化と連動した取り組みの展開
雇用環境、労働法制の遵守点検など、従来どおり、労働相談ダイヤルを通じた組織拡大の取り組みを展開していくとともに、組合のない職場・非正規労働者に向けた、チラシなどの機材を含め、闘争期間中の計画的な準備・配布に努めていくことについて検討する。