2006年12月8日掲載
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- 15-1表 各種統計のジニ係数 ほか
解説
- 15-1表と15-1図は、1986年から2005年までの各種所得統計について、ジニ係数を計算した結果である。「ジニ係数」は、所得分配の不平等度を計測する計算手法で、0から1までの間に分布し、値が小さいほど平等、大きければ不平等である。完全平等で全員が同一の所得なら係数はゼロ、ひとりが全所得を独占し他の構成員が所得なしの場合は、係数が1となる。

- 図表では六つの統計から計算した結果を示している。国税庁「民間給与実態調査」は男女計の年間給与、「労働力調査」は役員を除く雇用者計の年間収入、「家計調査」は勤労者世帯の年間収入、「就業構造基本統計調査」は雇用者計の年収、厚生(労働)省「所得再分配調査」は全世帯の当初所得と、税・社会保険料控除給付後の再分配所得、そして賃金センサスの所定内賃金(産業計、規模性学歴計)である。所得再分配調査は3年に1度、就業構造基本統計調査は5年に1度の調査なので、グラフでは空白年を直線補完法で補っている。
- グラフでまず注目すべきは、92年ないし93年以降、全体的に右上がり傾向、いいかえれば格差拡大傾向となっていることである。例えば労働力調査では、1993年に0.389だった指数は、1999年に0.403、2005年には0.406となっている。
- 唯一「賃金センサス」所定内賃金だけが例外で、計算を行った1989年以降、2004年まで、一貫した右下がり傾向、つまり格差縮小傾向となっている。
- なぜ他の統計では格差拡大傾向となっているのに、「賃金センサス」所定内賃金は格差縮小傾向となっているのか。答は「賃金センサス」が、パートや臨時を除いた常用労働者についての統計であることに求められる。また企業規模の面で「賃金センサス」は、企業規模計とはいっても「10人以上規模」(5〜9人規模は参考扱いで別表に掲載されており、「企業規模計集計」には含まれていない)であることも作用しているのかもしれない。全雇用労働者を対象とすれば格差は拡大の方向に向かっているが、「10人以上規模の常用労働者に限定すれば、格差は縮小傾向」ということなのである。
- 「賃金センサス」データによる格差分析をより詳しくみていこう。15-2表は、1989年から2005年まで、性学歴計、男性学歴計、男性高卒、男性大卒、女性学歴計について、年齢計と年齢階層別にジニ係数を計算した結果である。
- 15-2図は、性学歴区分毎に、年齢階層計のジニ係数の推移を図示したものである。性学歴別では、男性大卒でもっとも大きな格差があり、女性学歴計がもっとも小さな格差となっている。経年の傾向をみると、いずれの区分も2005年は前年比で大きく格差を拡大させているが、このことは後で触れるとして、まず2004年までの傾向をみてみよう。性学歴計と、男性高卒は一貫した格差縮小傾向である。男性大卒は持ち合い状態が続いていたものが、2001年以降拡大の気配を見せている。女性学歴計では、1994年を境に、縮小傾向が反転し、拡大に転じている。女性におけるこの変化は、高賃金職種に就く女性が増大した結果と考えられる。
- 2005年の格差急拡大は、これまでも述べてきたことであるが、調査方法の変更により、契約社員等が大きく表面化したことによるものと思われる。契約社員等比率が比較的小さい男性大卒で大きな変化がみられず、男性高卒や女性で大きく変化していることも、そのことを裏打ちしていると考えられる。

- 15-3図は男性高卒について、年齢階層別にジニ係数の推移をみたものである。30歳以上の年齢層では、1998年頃から緩やかな格差拡大傾向が始まっていることがわかる。20歳台でも2002年頃拡大に転じているようである。年齢階層別にみると格差拡大傾向であるのに、年齢計では引き続き縮小傾向が続いているのは、年齢別の賃金カーブが「ねる」傾向がつづいているため、年齢階層間の格差が縮小したことによるものと考えられる。
- 15-4図は、男性大卒についてみたものである。年齢階層別では、高卒者と同様、20歳台も含めて、1998年ころから格差拡大に向かっている。

