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1.労働力構成


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このコーナーの目次


2006年12月8日掲載

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解説

  •  「賃金センサス」は、「労働力構成」分析のデータとしても活用が可能な統計である。「産業別の労働者数」を知りたいということであれば、総理府の「労働力調査」の方が有用であろう。しかし「労働者の属性別分析」を行おうとしたときは、「賃金センサス」にたよるしかない。「賃金センサス」は、性、学歴、年齢、勤続年数別の労働者数が集計されている、わが国唯一の統計なのである。
  •  ただし「賃金センサス」の主要な集計対象となっているのは、公務員を除いた10人以上規模企業である。5〜9人規模企業については別集計となっており、10人以上規模企業と厳密に比較対照させることはむつかしい。したがって以下の分析は、とくに断りのない限り、民間10人以上規模企業に雇用されている常用労働者2187万人を対象としたものである。産業別の人員は、1-1表のとおりである。
  •  1-2表は、労働者がどの産業、どの企業規模に分布しているかを1990年から2005年までについてみたものである。製造業、とりわけ生産労働者のウエイトが小さくなっていく傾向を読み取ることができる。全民間労働者(産業計規模計)を100とした指数でみると、製造業全体では、1990年の36.60から2005年の29.05へ、7.55ポイントの低下である。その7.55の低下分のうち、事務技術労働者は2.03ポイント(1990年の14.56から2005年の12.53)であり、生産労働者は5.52ポイント(1990年の22.04から2005年の16.52)である(1-1図)。ウエイトを高めている産業としては、情報サービス業、道路貨物運送業、小売業、医療業、社会保健・社会福祉・介護などをあげることができる。
1-1図 製造業比率、大企業比率の推移
  •  1-3表は、大企業比率(「1000人以上規模」以上比率)の推移をみたものである。2004年まで、全体的に大企業比率は低下傾向をたどってきた。産業計では1990年の29.9から、2004年の26.9へ、ほぼ3ポイントの低下である。しかし2005年では、産業計で30.1と、2004年より3ポイント以上上昇する結果となっている。製造業でも大企業比率は前年比3.8ポイントの上昇である。この原因については、他の問題ともあわせ、本章末であらためて触れることにしたい。
  •  1-4表と1-2図は、男性比率の推移を見たものである。「1993年から2000年にかけて男性比率は上昇傾向をたどり、それ以降は平行線」というのがこの間の傾向であった。女性労働力比率が落ちているわけではないので、賃金センサスにみられるこの傾向は、女性パート労働者がこの間に激増し、その結果、パートを除いた一般労働者に限定すれば、男性比率が上昇したということであろう。製造業では、産業計をうわまわる勢いで男性化が進行しているが、これは「生産労働者の減少」という別の要因が働いた結果であると考えられる。
1-2図 男性比率の推移
  •  ただしここでも、大企業比率と同様、2005年データでは逆転傾向を発見することができる。産業計企業規模計では、前年比1.2ポイントの男性比率の減少である。
  •  伝統的に「女性職場の代表」とみなされていた産業・業種の女性比率の推移をみたのが1-3図である。繊維工業、電機、各種商品小売業(デパート・総合スーパー)、銀行業、保険業の五つについてみているが、いずれも女性比率の減少が顕著である。ただし2005年については、保険業で大幅ダウン、他の4産業では逆転上昇となっている。
1-3図 産業別にみた女性比率の推移
  •  1-5表は、男性労働者にしめる大卒者の比率をみたもので、全体的に高学歴化の傾向を指摘することができる。
  •  1-6表から1-9表までと1-4図は、産業計企業規模計の平均年齢と平均勤続年数の推移を男女別にみたものである。全体的に高年齢化と長勤続化が進行中であるが、とりわけ女性で顕著である。ただし2005年については、女性の勤続年数が前年比0.3年短くなっている。
  •  1-10表は、性・学歴別の「中途採用者比率」をみたものである。ここでいう「中途採用者比率」は、30〜60歳を対象とし、分母を全労働者、分子を採用年齢30歳以上労働者として算出したものである。全体的には、性別では男性で少なく(産業計規模計で38.5%)、女性で多い(同62.6%)傾向であり、学歴別では高学歴層ほど少ない傾向となっている。規模別では、大企業で少なく小企業で多くなっている。
1-4図 平均年齢、平均勤続年数の推移(産業計 企業規模計)
1-5図 中途採用者比率の推移
  •  産業別にみると、中途採用者比率が小さい産業は、電気業(3.7%)、鉄道業(5.3%)、銀行業(10.1%)である。逆に多い産業をみると、道路旅客運送業が最も多く(83.9%)、社会保健・社会福祉・介護、廃棄物処理業が7割台、職別工事、食料品製造業、繊維製品製造業、木材木製品製造業、道路貨物運送業、飲食店、宿泊業、医療業が6割台である。
  •  1-12表は製造業について、規模別業種別に労職比率(事務技術労働者と生産労働者の比率)をみたものである。賃金センサスでは、鉱業、建設業、製造業の3産業について、労職別の集計が行われており、すべての労働者がそのいずれかに分類されている。
  •  表下段の生産労働者比率に着目しよう。製造業トータルの生産労働者比率は56.9%であるが、規模別では大企業で低く、小企業で高い傾向となっている。業種別で、65%以上の比較的高い比率となっているのは、食料品製造業、繊維工業、繊維製品製造業、木材木製品製造業、鉄鋼業である。50%以下の低い比率となっているのは、飲料たばこ飼料製造業、化学工業、電機、精密機械である。
1-6図 性別規模別生産労働者比率の推移
  •  1-13表は、性学歴計の労職比率を1990年から2005年までみたものである。また1-14表は、男女別の生産労働者比率の推移をみたものである。この間の全体的な傾向は「生産労働者比率の低下」ということができると思われるが、性別規模別の傾向を示した1-6図でもう少し詳細に検討してみよう。まず「1000人以上規模」では、男女とも低下傾向である。「100~999人規模」と「10~99人規模」では、女性では明確な低下傾向が続いている。一方男性では、「低下」というより「横ばい」の傾向となっている。また、ここでも2005年は、全体的に生産労働者比率が上向く従来とは異なった傾向となっている。
  •  労働力構成について様々な角度から検討してきた。製造業比率、生産労働者比率と大企業比率の低下、男性化、高学歴化、長勤続化というのがこの間の傾向であるが、2005年のデータが従来の傾向とは異なった性格のものとなっている。その原因は、「はじめに」の項で述べた調査方法の変更による正社員以外の層が表面に出てきた結果なのか、それとも新たな構造変化が始まっているのか、あるいは「統計のブレ」なのか。女性比率の増大や、女性平均勤続年数の低下などからすると、「正社員以外の層が表面に出てきた結果」の可能性が高いと考えられるが、確定的なことはいえない。来年発表のデータを見極めて判断することにしたい。

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