第1部:下茶座長から山下課長にアピールを手交
連合は5月22日、「連合アクション 医療・介護フェス2021~安心と信頼の医療と介護 中央集会~」をWEB開催しライブ配信を行いました。医療・介護の現場で働く組合員など全国から約2,400人が参加、新型コロナの感染拡大が続く中、医療・介護現場で働く者の労働環境や処遇の更なる改善の必要性を確認しました。
第1部の冒頭、神津里季生会長が主催者挨拶を行い、「コロナの感染拡大が長期化する中、医療・介護従事者は感染拡大防止に細心の注意を払いながら業務を継続する一方で収入が低下するという、全く持って理不尽な現実がある。私たちが熱意を持って声を上げ、医療・介護現場で働く者の労働環境の改善に取り組んでいくことが必要である」と述べました。
つづいて、下茶健一連合社会保障PT座長(基幹労連中執)が、医療・介護現場に十分な人材確保と処遇の改善を求めるアピールを提起し、参加者により採択された後、厚生労働省保険局の山下護医療介護連携政策課長に手交しました。山下課長からは「アピールにある『働くことを軸とする安心社会』は最も大事な柱である。皆さんと一緒に社会保障の充実に取り組んでいきたい」と決意が述べられました。
第2部では、佐保昌一連合総合政策推進局長がコーディネーターを務め、はじめに、社会医療法人河北医療財団の河北博文理事長より、「社会文化を背景とし地球環境と調和したよりよい医療への挑戦~より良き社会を創る~」というテーマで講演いただきました。河北理事長からは「新型コロナウイルス感染症には病理的な感染とともに、不安・おそれ・怒りなどの心理的な感染、偏見・差別などの社会的な感染の3つの感染がある。また、物理的な距離を置くことで人との関係が薄れ、若い女性の自殺が増えている。家族や友人とのつながりを大切にし、ヒューマンタッチを大切にしてほしい」と、コロナ病床を持つ病院経営の経験に基づいたお話しをいただきました。
ディスカッションには、講演から引き続き河北理事長、松下聡子NCCU政策部門担当(UAゼンセン)、坂本美紀高知医療センター労働組合副執行委員長(自治労)、大島康全済生会労働組合中央執行委員(ヘルスケア労協)、山下課長(厚生労働省)が参加しました。「コロナに直面した医療・介護現場からの提言」をテーマとし、構成組織の皆さんからは、コロナ感染防止による業務量の増大などの課題、医療・介護サービスを提供しつ続けるためにはそれぞれが感染しないことが最も重要であるとの指摘、医療従事者を増員してほしい、メンタルヘルス対策を充実してほしい、といった提言などが示されました。
構成組織の参加者からの発言を受けて、河北理事長からは「感染拡大を抑えるには、訪問介護を含めた医療・介護従事者の次に、高齢者の家族がいる40~60代にワクチンを接種すべき」との考え方が示されました。また、山下課長からは「健康保険の制度があるおかげで、安心して質の高い医療・介護を受けられる。社会保障の仕組みを通じて、医療・介護の現場で働く皆さんを支えていきたい」とのコメントがありました。
第3部(ツイキャスURL
https://twitcasting.tv/unionion)では、連合アクション2021「あつまれ!ユニオンスクエア」として、コロナ禍で疲弊する医療・介護現場の課題や実情について、組織外の方にも幅広く知っていただき、医療・介護の現場で働く方々のために何ができるかを考える機会とすることを目的に、ツイキャスおよびYouTubeで生配信を実施しました。
インフルエンサーのてぃ先生とくるさん、構成組織から、山﨑茂治総合サービス部門医療・介護・福祉部会事務局長(UAゼンセン)、福井淳衛生医療評議会事務局長(自治労)、指宿悦子日本赤十字労働組合中央執行委員(ヘルスケア労協)、鈴鹿麻菜生活福祉局部員(連合)が意見交換を行いました。
連合からは、これまでの「『安心と信頼の医療と介護』中央集会」や「医療・介護フェス」の取り組み、「医療・介護従事者向けアンケート」(回答者:3,258人。実施期間:2021年4月26日~5月13日)の調査結果として、コロナの拡大で勤務環境にあった変化として、「感染しないさせないために行動制限されている」「感染防御の対応で負担が増えた」という声が多かったことなどを紹介しました。
構成組織の参加者からは、「コロナで人手不足に拍車がかかっている」「自粛生活が続いてストレスを発散できていない」「医療従事者の2割強の方に鬱的症状があるなど、精神的に追い詰められている」「医療従事者の3割の方が差別や偏見を受けた」「コロナの終わりが見えず希望が持てない」といった現場の生の声が出されました。
こういった声を受けて、医療・介護の現場で働く方々の処遇や労働環境の改善に向けて、「コロナに感染しない、させない」「医療・介護従事者を増員すべき」「心身ともに休める休暇を」などの意見が出されました。また視聴者からは、「労働に見合った賃金の見直しが必要」「人が足りない」などのコメントが寄せられました。こういった声を今後のさらなる取り組みにつなげていくことを確認し、終了しました。
以上