「クラシノソコアゲ応援団」特別団員メッセージ

いま、連合が全国で展開している「クラシノソコアゲ応援団」の活動にご賛同いただき、
“特別応援団”に加わっていただいた識者、文化人の皆様から熱いメッセージが届きました!
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年金を取り巻く状況というのは決して良くない。いまの2割から3割くらい減るような形のもらい方を考えておいた方がいいと思います。

【後編】経済ジャーナリスト荻原博子 氏

GPIFによる年金運用が失敗すれば
老後の生活にダイレクトに影響を与え
ることも考えられます。

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私たちの年金は大丈夫なのか

よく年金が破綻すると言う人がいますけれども、年金は破綻しません。なぜなら年金は国が破綻しない限りは破綻しません。日本の国が破綻するということは今のところはありえないので、そういう意味で。
なぜありえないかというと、日本には破綻する前にいっぱい出来ることがあります。それは、皆さんから税金をどんどん取る。あの日本とギリシャの大きな違いは、日本の国は徴税権を持っています。ギリシャはユーロに加盟しているので勝手に税金を取れません。ですからそこはまず大きく違います。
それから日本国債。100兆円もあって、みんな借金が沢山あって大変なんだ、苦しいんだって言いますけれども、この日本国債を一番持っているのが日銀です。300兆円以上持っています。金融緩和が続く限り、日銀はこの先まだまだ日本国債を買っていくので、政府の“子会社”の日銀がどんどん国債を買っているということは、日本の借金が少なくなっているようなものなんですね。

それからあと、マイナンバーも導入しましたね。マイナンバーを導入すると、皆さんから、お金持ちから税金を取りやすくなる。ですから社会保険料も取りやすくなる。そういう打ち出の小槌みたいなものをいっぱい持っているので、日本の国が破綻するということはまずないと思います。日本の国が破綻しなければ年金は破綻しません。なぜなら、いま年金というのは既に受給権を持っていらっしゃる方に、700兆円位払う約束をしているんですね。そうすると、これを「払いませんよ」といった途端に何が起きるかというと、<訴訟>ですよ。
そうすると、日本の年金をもらうはずの人が全員訴訟を起こして国を相手取ったら、国は負けますね。700兆円どころの話ではないお金を国は払わなきゃいけなくなっちゃう。それで破綻するかもしれないぐらいのものなので、まず払わないってことはしないと思います。

じゃあこれで安心なのかというと、実は年金はそんなに安心ではない。なぜかといえば、年金をもらう人がどんどんどんどん増えている。それから払う人が減っている。そういう状況の中でいままで随分保険料も上げてきた。それから支給年齢も上げてきた。
でも、これでも足りないということになって、いまはもらう人の年金を削っているところですね。ですから、そういう状況はまだまだ続いていく。しかも私たちが140兆円ぐらい年金に積み立てている貯金があります。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)という所が運用しているんですけれども、この運用先が株式相場にかなり注ぎ込まれている。いま株の買い支えにGPIFなんかが出動しているので、日本の株の買い支えをしているということは、これだけ株が下落していると損失も大きいということですね。

そもそもこのGPIFというのは、2回名前を変えていますけれども、その前の前は「年金福祉事業団」といって、「グリーンピア」をせっせとつくって年金の無駄遣いをしていました。つまり「グリーンピア」で大失敗して不動産屋をやめた人達が、いま株屋をやっているということですよね。しかも、政権の意向で年金での株式運用比率を上げている。なので、年金をしっかりキープできるかどうか分からないという心配が一つまずありますね。
あと、国はいろんな試算をして「もらえるよ、もらえるよ、もらえるよ」ってやっているんですけれども、どこまで信用に足るものなのかわからなくなっているので、皆さん本当に信用できなくなっている。年金、ホントに一体どうなのかっていうことをつぶさに見せてもらえれば、ひどくてもこんなにヒドイか国としてどうしていかなくてはいけないのかということが考えられますが、隠し、隠し、隠し・・・。ホントに何ていうのかな、耐震偽装みたいになっちゃっているので、実際のところが分からない。
これが一番まずいのは、いま日本の金融資産の6割を持っているのは高齢者なんですね。この高齢者の方たちが、何だか知らないけれども生活が苦しくなっているような気がする。それから年金が本当にもらえるのかどうか心配になっている。「宙に浮いた年金問題」でも、安倍首相は最後の一人まではっきりさせるっておっしゃったけれども、半分ぐらいで打ち切っちゃいましたね。一体それはどうなってるんだろう。いろいろ年金のことを考えると不安で眠れないっていう人が山のようにいるんですよ。そういう人たちが安心してお金を使うのかっていうことですね。

実は、総務省の家計調査を見ると、65歳以上の世帯の6世帯に1世帯は金融資産で4千万円以上持ってます。金融資産で4千万円以上であって、その他に家とか田畑だとかいろんなものを持っているので、本当は物凄い金持ちの老人も、下流老人もいるんですけれども、金持ちの老人も多いんですね。ところがこの人達のマインドはどうなっているかっていうと、もう心配で使えないっていう方向に行っちゃっているので、中々そのお金が世の中に回って行かない。景気も回復しない。そうすると増々心配になってお金が使えないということで、結局は景気回復が程遠くなっているという状況ですね。
ですからそういう意味では年金を取り巻く状況というのは決して良くなくて、皆さんじゃあもらえないのかっていうともらえますよ。もらえますけれども一体いくらもらえるのか分からない。大体2割減り、いまの2割から3割くらい減るような形のもらい方を考えておいた方がいいと思います。