竹信三恵子 氏
和光大学教授 ジャーナリスト
竹信三恵子 氏

 ここ数年、景気回復と株高が声高にPRされてきました。でも、暮らしはよくなったでしょうか。「保育園落ちた 日本死ね!!!」のブログのように、働く父母は追いつめられています。非正社員が4割を超える中で、男性一人が働く大黒柱型家計から男女が働く二本柱型家計への転換を迫られているからです。

 勤め先の大学では、学生たちがアルバイトに奔走しています。親世代の賃金が下がり、自力で生活費や学費を負担しなければならないからです。奨学金は貸与型で、多くは利子つきです。借金を背負って卒業後は非正社員、では返済できません。だから、バイト頼みになるのです。バイトに追われて卒業できない学生も見かけます。

 グローバル化で、稼ぎ頭の製造業は外に流出しています。サービス産業主体の変動する雇用を支えるには、男女で働ける保育・介護サービスが不可欠です。賃金の不安定化に対応し、生活保護の整備や住まい・教育への公的支えも必要です。ところが、社会保障に回すはずの消費増税は法人税減税に消えました。選挙対策の株高とみせかけの好景気で富裕層に富を流し込むアベノミクスでは、この産業構造の曲がり角は曲がれません。
アベノミクスでは日本は角を曲がれない
和光大学教授、ジャーナリスト 竹信三恵子